パレオアジア文化史学

文部科学省 科学研究費補助金
新学術領域研究(研究領域提案型)
平成28年度~32年度

A02: ホモ・サピエンスのアジア定着期における行動様式の解明

研究組織

研究代表者
  • 門脇 誠二(名古屋大学 博物館・講師;先史考古学・道具製作行動の解析)
研究分担者
  • 出穂 雅実(首都大学東京 人文社会学部・准教授;地考古学・居住行動の解析)
  • 小野 林太郎(国立民族学博物館・准教授;海洋考古学・水生資源利用の解析)
  • 中沢 祐一(北海道大学 医学研究科・助教;旧石器考古学・社会行動の解析)
研究協力者
  • 高橋 啓一(滋賀県立琵琶湖博物館・館長;古脊椎動物学・陸生資源利用の解析)
  • 内藤 裕一(名古屋大学 博物館・研究員;進化人類学・年代学)
海外研究協力者
  • Donald O. Henry(米国・タルサ大学 人類学部・名誉教授)
  • Byambaa Gunchinsuren(モンゴル科学アカデミー 歴史学考古学研究所・副所長)
  • Alfred F. Pawlik(アテネオ・デ・マニラ大学 社会学・人類学科・教授)
公募研究者
  • 中沢 隆(奈良女子大学 大和・紀伊半島学研究所・特任教授;生命有機化学)

全体研究計画(2016―2020)

研究目的

新人の生物学的起源はアフリカかもしれないが、文化や行動の起源はそうとは限らない。それではアジアの新人文化はどのように形成されたのであろうか?この問題を解く鍵となる直接的証拠を提供するため、本研究は、アジアに新人が拡散・定着した頃の人類行動を示す考古記録を体系的に収集し、その解析を行う。特に、アジアの各地における人類行動の多様性を示し、地域ごとの変遷パタンを明らかにすることを目的とする。そして、他班との連携研究を通し、アジアにおける新人の行動的特徴が形成された過程の地域的パタンを導くと共に、そのモデル化を目指す。

研究方法

アジアに新人が拡散・定着した時期としては、約10万~2万年前頃を想定し、この時期(中期旧石器時代~後期旧石器時代)の考古遺跡を研究対象とする。データの収集方法としては、幾つかの重点地域(西アジア、北アジア、東南アジアなど)において遺跡調査を行い、新たな考古記録を得る。また、文献探査も補完的に行い、アジア全体における考古記録(特に人類行動に関わる面)の集成をする。
これらの考古記録を用いて人類行動の解析を行う方法としては、特に(1)道具製作(主に石器)、(2)資源利用(陸・水生資源)、(3)居住・移動、(4)社会関係(墓・炉・象徴品)に関する行動記録を抽出し、地域ごとの多様性や変遷パタンを明らかにする。
この分析結果の解釈にあたっては、新人の地理分布拡大パタンに関するデータ(A01班)とアジア各地の古環境に関するデータ(A03班)と照合することによって、新人がアジア各地に拡散・定着していく過程の中で、どのように文化や行動を維持、革新あるいは(旧人文化と)融合させたか、という問題について考察する。そして、この解釈結果を、現象数理学および文化人類学の理論(項目B)に照らし合わせることによって、アジア各地において多様な新人文化が出現した現象を、人類の移動や環境適応、異文化交流という要素から構成される歴史プロセスとして提示する。


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