パレオアジア文化史学

文部科学省 科学研究費補助金
新学術領域研究(研究領域提案型)
平成28年度~32年度

B02: 人類集団の拡散と定着にともなう文化・行動変化の現象数理学的モデル構築

研究組織

研究代表者
  • 若野 友一郎(明治大学 総合数理学部・准教授;数理生物学・モデル構築と数理解析)
研究分担者
  • 小林 豊(高知工科大学 経済マネジメント学部・准教授;数理生物学・文化伝達実験と数理解析)
  • 高畑 尚之(総合研究大学院大学・名誉教授;集団遺伝学・旧人新人交雑にかかわる集団ジェノミックス)
連携研究者
  • 井原 泰雄(東京大学 大学院理学系研究科・講師;理論人類学・人類学視点からのモデル構築と助言)
研究協力者
  • 青木 健一(明治大学 研究知財戦略機構・客員研究員)
海外研究協力者
  • Marcus W. Feldman(米国・スタンフォード大学・教授)
  • Laurent Lehmann(スイス・ローザンヌ大学・教授)
  • Alex Mesoudi(英国・エクセター大学・准教授)
  • Joseph Henrich(米国・ハーヴァード大学・教授)
  • Magnus Enquist(スウェーデン・ストックホルム大学・教授)
招待研究者
  • 太田 博樹(北里大学 医学部・准教授;解剖学・ゲノム人類学)

全体研究計画(2016―2020)

研究目的

動画による解説(約20分)


  • ・プロジェクト全体説明(約4分)
  • ・文化進化の現象数理学的モデルの
    紹介(約10分)
  • ・代表研究者(若野友一郎)
    インタビュー(約6分)
※動画視聴にあたっては、極力最新
のブラウザ環境で視聴されることを
推奨いたします。

本班は、人類の拡散と定着、他集団との接触によって文化や行動に生じる変化を、数理モデルの構築・シミュレーションを用いて解析し、文化変化に与えた鍵要因およびその多様性を明らかにする。それにもとづき、新人定着期に生じた文化変化の解釈としてあり得た論理的パタンを提示し、アジアにおいて見られる遺伝子と文化の交替の不一致が起きるメカニズムを明らかにする。
ヒトの文化は遺伝子のみで決定されるわけではなく、むしろ文化そのものが世代内・世代間で伝播していくものであって、現生人類の文化も、パレオアジアにおける文化も、その時々の個体の持つ遺伝子の発現と考えるよりは、文化の時空間的な伝播と蓄積の結果生じたものであると考えられる。パレオアジアの実証研究(A01-03班)や民族誌を用いた人文学モデル研究(B01班)と連携しつつ、これまでの理論研究の成果を発展させ、特に多様な文化のダイナミクスを記述する数理モデル研究を遂行することで、ゲノム生物学だけからでは見えてこない、アジア新人文化形成プロセスの総合的理解を目指す。

研究方法

次の5つの研究テーマの遂行を軸とする。

  • ■テーマ1
    アジアへの拡散の過程で生じた在地の旧人集団の個体数減少と新人集団の個体数増加が、各集団における文化の蓄積度とどのような関係にあったかを解析し、新人がアジアに定着しえた理論的根拠を明らかにする。具体的には、反応拡散方程式系を用いた数理モデル構築、解析を行う。

  • ■テーマ2
    文化の多様性を表現するため、個体のもつ文化を多次元ベクトルで表現する数理モデルを開発し、文化伝達様式や個体数(バンドサイズなど)の違いによってどのような種類の多様性が生まれうるのかを解析する。これにより、遺伝的には比較的均質な新人集団が広大なアジア各地に拡散し定着したときに、各地の文化はどの程度の多様性を持つと期待されるかについて、理論予測を行う。

  • ■テーマ3
    旧人と新人間にはごくわずかな遺伝子交流があったとされているが、文化についての交流の程度は不明である。アジア各地においてその環境に適応した文化を獲得するとき、各集団が独自の文化進化によってそれを獲得するモデルと、在地の集団から文化を学習するモデルとを構築、比較、検討することで、集団間の文化交流の程度が適応的文化の獲得に与える影響を解明する。

  • ■テーマ4
    海外の研究動向を常に精査し、本計画研究が提示する文化変化の理論予測との比較検討を行う。また、専門用語で発信されるゲノム関連の原著論文の内容を、他班にもわかりやすく提供し、総合的な議論を行うことで、プロジェクト全体の成果を世界の研究動向の中に位置づけ、発信する。

  • ■テーマ5
    文化進化に大きな影響力をもつ文化伝達様式について、現実にはどのような伝達様式・学習行動が観察されているのかを、B01班のもつ民族誌データ、および高知工科大学における実験設備を活用した実験を行うことで明らかにする。


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